韓国の家計支出、平均はいくら? — 統計で見るお金の使い方
「自分の家計は平均より多く使っているのか、少ないのか」
家計簿をつけていると、一度は気になる疑問だ。でも、その「平均」をどこで調べればいいのか知らない人は意外と多い。
韓国では、統計庁(통계청)が毎四半期発表する**家計動向調査(가계동향조사)**が最も信頼性の高いデータソースだ。この調査は日本の家計調査(総務省統計局)に相当するもので、全国の家計の収入・支出構造を詳細に把握できる。
この記事では、2024年年間データ(2人以上の世帯)をもとに、韓国家庭の月平均消費支出の構造を項目ごとに見ていく。
まず全体像を把握する:収入・支出・残り
2024年年間平均(2人以上の世帯)
| 項目 | 月平均金額 |
|---|---|
| 世帯収入(税込) | 約553万ウォン |
| 可処分所得(税・社会保険控除後) | 約424万ウォン |
| 消費支出 | 約290万ウォン |
| 黒字額(貯蓄・投資の余力) | 約134万ウォン |
(出典:統計庁 家計動向調査 2024年年間)
月収約553万ウォン(約60万円)のうち、税金・年金・健康保険などの非消費支出を差し引くと、実質的な可処分所得は424万ウォン。そこから290万ウォンを消費に使い、134万ウォンが残る構造だ。
これは**貯蓄率(黒字率)約31.6%**に相当する。日本の家計貯蓄率(近年は10〜15%程度)と比べると、韓国の数字はかなり高い。これは強制貯蓄に近い国民年金の拠出率や、韓国独自の住宅制度(チョンセなど)に向けた貯蓄需要が影響していると言われている。
項目別の消費支出:どこに何を使っているか
統計庁は消費支出を12の大分類に分けている。2024年の主要項目を見てみよう。
| 支出項目 | 月平均 | 全体に占める比率 |
|---|---|---|
| 食料・非アルコール飲料(食材費) | 約43万ウォン | 14.8% |
| 飲食・宿泊(外食・カフェ・デリバリー) | 約38万ウォン | 13.1% |
| 交通 | 約32万ウォン | 11.0% |
| 住居・水道・光熱費 | 約28万ウォン | 9.7% |
| 教育 | 約25万ウォン | 8.6% |
| 保健・医療 | 約22万ウォン | 7.6% |
| その他の財・サービス | 約21万ウォン | 7.2% |
| 娯楽・文化 | 約16万ウォン | 5.5% |
| 衣類・履物 | 約14万ウォン | 4.8% |
| 通信 | 約13万ウォン | 4.5% |
| 家具・家事サービス | 約12万ウォン | 4.1% |
| アルコール・タバコ | 約4万ウォン | 1.4% |
(出典:統計庁 家計動向調査 2024年年間)
注目ポイント
① 食費が2行に分かれている
韓国の統計では「食材費(スーパーで買って自炊)」と「外食・カフェ・デリバリー」が別の項目として計上される。両方を合計すると月**81万ウォン(約8.8万円)、消費全体の27.9%**だ。
特に外食・デリバリーカテゴリは、配達アプリの普及とともにここ数年で顕著に増加している。배달의민족(ベダルウィミンジョク)やCoupang Eatsといったアプリの利用が日常化し、「気づいたらデリバリー代が膨らんでいた」という声も多い。
② 交通費が意外と高い
月32万ウォン(約3.5万円)。これにはマイカーの購入費・ローン・燃料費・保険・メンテナンスと、公共交通機関の利用がすべて含まれる。車を持たない世帯はこれよりかなり低い数字になるため、実質的な可処分所得が高い傾向がある。
③ 教育費は子どもの有無で大きく変わる
平均25万ウォンとなっているが、これは子どものいない世帯も含んだ数字だ。韓国では학원(ハグォン:塾・習い事施設)への支出が根強く、小学生の子を持つ世帯では教育費が月60万ウォンを超えることも珍しくない。「平均」を参照する際は、自分と似た家族構成の数字を探すことが大切だ。
④ 通信費は下がり傾向
月13万ウォン(約1.4万円)は、2人世帯なら1人あたり約6〜7万ウォン程度。近年、格安SIM(알뜰폰:アルットルポン)への乗り換えが増えており、大手キャリアが中心だった数年前に比べて通信費は低下傾向にある。
この統計データをどう活用するか
統計の数字は「こうあるべき」という目標値ではない。地域、世帯人数、収入水準によって適切な支出は異なる。とはいえ、うまく使えばいくつかの有益な視点が得られる。
1. どの項目が突出しているかを把握する
自分の月間支出と国民平均を項目別に比較し、どこが特に高いかを確認しよう。外食費が7万円なら平均(約4.1万円)の1.7倍だ。それが悪いわけではないが、「自分はそれだけ外食に価値を置いている」という認識が生まれ、他の項目で調整するかどうかの判断材料になる。
2. 貯蓄率を健康診断の指標にする
韓国の平均貯蓄率は約31.6%。自分の貯蓄率がこれより低い場合、その原因が収入水準なのか、支出の多さなのかを家計簿で追跡できる。
3. 予算設定のスタート地点として使う
「食費の予算をいくらに設定すればいいか分からない」という場合、食材費43万ウォン+外食38万ウォンという数字を参考に、自分のライフスタイルに合わせて上下に調整するアプローチが取りやすい。
複式簿記の家計簿だとデータ比較が楽になる
統計データと自分の支出を比較するには、自分側のデータが一貫した項目で記録されている必要がある。これは複式簿記の家計簿が得意とするところだ。
複式簿記では、すべての支出が勘定科目に分類され、残高も追跡される。1ヶ月が終われば「飲食・宿泊」の科目合計が自動的に出るので、統計庁の38万ウォンという数字と即座に比較できる。メモ型の支出記録アプリとの違いがここに現れる。
잔고(jango)はこの複式簿記の仕組みを採用しているため、月次の項目別集計が自動的に行われる。韓国の平均的な家計と自分の支出パターンがどれだけ違うか — それを確認したいときに、構造化された記録が力を発揮する。
まとめ:数字より大切なのは「方向性」
国民平均は自分の生活水準の正解にはなれない。大事なのは、自分の支出構造がどうなっているか、そしてそれが自分の望む方向に向かっているかどうかだ。
平均より外食を多くしていても、それが意識的な選択なら問題ない。一方で「気づいたら消えていた」お金があるなら、それを見つけること自体が家計簿の最も大きな役割だ。
統計庁の家計動向調査は四半期ごとに更新され、年間確定値は通常翌年3月頃に公表される。正確な数字は統計庁公式サイト(kostat.go.kr)で確認しよう。